相続・遺贈・死因贈与の違い

2016年09月20日(火)6:11 PM

 亡くなられた方の財産について、死亡によって権利義務を誰かに移転させるには、おもに三つの方法があります。それぞれ、相続、遺贈、死因贈与について、違いをみてみましょう。

相続人が決まっています  -相続-

 相続は、被相続人の死亡によって、相続人がその方の財産に属した一切の権利義務を承継することをいいます。
 民法には、法定相続人の定めがあって、遺言がなければ、法定相続人が法定相続分にしたがって、遺産を取得することになります。したがって、被相続人が相続人を選ぶことはできません。 →ブログ「相続人になるのは誰?」

遺言による一方的な行為です -遺贈-

 遺贈は、遺言によって自分(遺贈者)の財産の全部または一部を無償で他人(受遺者)に与えることです。
 遺言があれば、法定相続に優先して、遺産を取得することができますが、遺留分の規定に反することはできません(民法964条)。

 受遺者は、法定相続人でもそれ以外の者でもかまいません(法人でもよい)。ただし、遺贈者の死亡時に生存していなければ、遺贈は効力を生じません(民法994条)。相続のような代襲もありません。
 遺贈は、遺贈者の一方的な意思表示による単独行為で、受遺者の承諾を必要としません。受遺者の方は、遺贈の放棄によって受け取りを拒否することができます(民法986条)。

 「△△を扶養すれば、家屋甲を与える」というように、遺贈者は受遺者に、遺贈の目的の価額を超えない限度で、一定の義務を負わせる負担付遺贈もできます(民法1002条)。

包括遺贈と特定遺贈
 遺贈には、「家屋甲を○○に与える」のように、具体的な財産を特定する特定遺贈と、「遺産の半分を○○に与える」のように、全部または一定の割合とする包括遺贈があります(民法964条)。

 包括遺贈の場合は、受遺者は相続人と同一の権利義務を有することになります(民法990条)。他の相続人とともに、遺産分割協議にも参加します。承認および放棄にも相続の場合と同じ手続きが必要です。
 ただし、他の相続人の相続放棄や遺贈の放棄があっても包括受遺者の持分は増えません。持分についても登記なしに第三者に対抗することはできません。

もらう人との契約です -死因贈与-

 死因贈与は、贈与契約の一つで、死亡を原因として効力が発生して財産が移転します。
 贈与は契約行為ですので、当事者の一方(贈与者)が財産を与えることを申し出て、相手方(受贈者)がこれを承諾することで成立します。

 死因贈与の行為自体には、遺贈と実質的に変わらないため、基本的には遺贈に関する規定が準用されます(民法554条)。遺言の方式については適用されません。

 遺贈の場合と同様に、遺贈者が受贈者に一定の義務を課す負担付贈与も可能です。ただし、遺言の場合と違って、受贈者が義務を履行していれば、贈与者が一方的に撤回することはできません。

 何もしなければ、遺産の相続人を選ぶことはできません。遺言書あるいは死因贈与等の契約書を作成して、ご自身の意思が実現されるよう準備しておきましょう。

 


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